2013年3月24日日曜日

建物のどこから考える?


一般に建物を設計する場合、まず取りかかるのは、建物の配置や間取りなど平面的要素に
ついての検討ではないかと思います。でも、敷地や周囲の地形が傾斜地だったり、立体的な空間使いをしたい場合、断面を同時に考えなければなりません。もちろん外観に関わる立面、更に言うと、平面と断面でおおよそ決まるそれぞれの屋内空間の展開(ある面を正面から見た姿)も同時に検討して、3次元の空間が出来上がった時それぞれの計画が調和し、美しく使いやすく丁度いい具合になりそうかどうか考えていく必要があります。
2次元の図面でこの総合的な検討を行うには限界があるため、透視図やスケッチをしながら
図面を描いたり、施工者に伝達したりすることになります。
私が自分の家族のための家をどういう家にしようかと考えたとき、色々なテーマがありましたが、その中でも、屋外との関係を大切にした家にして、家の中にいても屋外の林の緑、空、雲、天体、光などの移り変わりを感じられるようにしたい、という大きなテーマがありました。3次元の空間がじっと動かないのは面白くない、どんなに美しいデザインを施してもすぐに飽きてしまうだろう。刻々と変化する環境を感じられる家はそこで暮らす人の心や感覚も豊かにしてくれるだろう、という思いがありました。
そのようなテーマに沿った計画とするために、吹き抜け空間や開口部などたくさんの断面計画を行い、それに調和する平面計画の擦り合わせを何度も行いました。
頭の中にある出来上がりの姿をより具体的に伝えるためスケッチを書き込んだ矩計図

2013年3月19日火曜日

自宅の写真(竣工時)

南側からの見上げ


 竣工して間もない時の写真です。
ここまで来るのには長い時間がかかりましたが、
まずは結果だけちょっと紹介してみようと思います。

敷地が急な斜面の上なので、見晴らしの良さを生かす
おうちにしました。2階に居間や食事室など時間を多く
過ごす部屋を設けました。また、南側と西側の視界がひらけているので、そこに大きな開口部を設けました。

写真に写っているのは2階南東の食事室の窓です。
この窓は折戸で開けると開口が全てオープンになります。元々あった木を残してあるので、食事室にいると
木の上で暮らしているような気分になります。


寝室がある3階の薪ストーブ
南側の急斜面は雑木林になっていて、毎日鳥たちが
遊びにやってきます。家のすぐそばの木の枝は、
蚊や毛虫などのあんまり嬉しくない昆虫を遠ざけるため
こまめに切るのですが、どんどんまた生えてきます。

そんな風にして切った枝はご近所さんももて余している
ので、子供が貰ってきたりします。3階の薪ストーブの
薪はそうして自然に調達できてしまいます。

3階にストーブがあるのは、この建物が3階建てで、
建築基準法上の制限から、火を使う設備は3階にしか
設けられなかったからです。本来は居間に設ける事が
ほとんどなのですが、うちはできませんでした。
その代わり、3階には寝室があるので寝る前にストーブ
をつけておけば、寝る頃から朝にかけてポカポカな部屋
でぐっすり睡眠をとることができます。

初めて記事を書きました。

何もせぬまま1年以上過ぎてしまいました(反省)。
緑を取り入れた住宅について、少しずつでも記事を書いていこうと思います。

僕は自分の家を数年前に設計し、家族5人と猫1匹、犬1匹で住んでいます。

前の会社に入社した時の新入社員研修で訪れた、瀧光夫さんという建築家が設計したアイ・アイランドという宿泊施設で、建物内外の緑に包まれた素晴らしい空間がとても気に入って以来、自分もこんな建物を設計したいと思っていました。

瀧光夫さんの建物はその後も見てまわりました。岐阜にある、古今伝授の里フィールドミュージアムなどは素晴らしい建物で、アイ・アイランドと同じく、屋外空間の緑や景色を建物の内部に取り込んだ素晴らしい建物でした。
共通しているのはその建物で食事ができたり宿泊できたりと居住空間として設計されていて、楽しく快適に過ごせること、建築的には大きな嵌め殺し窓が使われ、静寂の中で邪魔な物が全くない窓の景色を楽しめること、そして水面があることです。

これらの建物は僕が自分で設計をしていく上で大きな影響を与えてくれました。遊びに行くだけでも本当に良い時間が過ごせるので本当におすすめです。興味のある方、ぜひ行ってみて下さい。

アイ・アイランド HP http://www.iiland.ne.jp/infomation.html

古今伝授の里 フィールドミュージアムHP  http://www.kokindenju.com